入社するとヤバい会社の見極め方①
この3月から、25年度入社に向けた就職活動をスタートした就活生。または転職活動中の皆さんへ。入社するとヤバい会社の見極め方を説明します。
入社を希望する企業の求人情報や労働条件などを調べる際に、まずマイナビやリクナビ等の求人サイトで、関心のある企業の求人データ見ることが多いです。サイトには様々なデータが掲載され、各社の求人データを比較検討して会社を絞り込むのが一般的な流れだと思います。
先日、新卒初任給を一律40万円とする企業が話題になりましたが、それは毎月80時間分の固定残業代を含んだ額だということが批判されていました。求人データを見て「給料が高い」と思っても、入社後「こんなはずではなかった!」と後悔するのは避けたいですね。
そこで、就活生の皆さんが入社する会社を決める際に、求人サイトのどの部分に注意を払うべきかを説明します。入社希望の会社の職場がブラックかどうかを見極めるポイントです。
抽象的・情緒的な言葉が多い
求人サイトや会社案内のパンフなどで「成長」「夢」「感動」「やりがい」「情熱」「輝く」などのプラスイメージを喚起する抽象的・情緒的な言葉が多く使われている場合は注意すべきです。
こうした言葉は求職者の心情に訴え「この会社に入りたい」という気持ちを高揚させるものですが、そもそも社員を募集するのになぜ心情に訴える必要があるのか?ということを冷静に考えて下さい。
こうした言葉を求人サイトで多用する会社は、職場の労働環境がブラックで社員の定着率が低く、自社の職場環境や労働条件を求職者にアピールできないので、心情に訴えかけることで社員を募集する以外に方法がないと考えたほうがいいです。
職場環境や労働条件が整備されている会社なら、求職者の心情に訴えるような言葉は使いません。それよりも入社後の待遇、会社の展望、業務に必要なスキル、入社後のキャリアアップや研修制度などを具体的に記載するのが普通です。
したがって求人サイトを見て、耳触りの良い言葉が多用され、求職者の心情に訴えかけることで自社をアピールしているような会社は避けるべきです。
『やりがい』や『成長』を過度に強調する
求人サイトで、仕事への「やりがい」や、仕事を通じた「成長(自己実現)」を過度に強調する場合も注意すべきです。仕事へのモチベーションの元になる「やりがい」は確かに大切です。
しかし、働く者の「やりがい」をうまく利用することによって、劣悪な職場環境の中で心身が壊れるまで働かせるブラック企業も存在します。
したがって「仕事 = やりがい」が正しい常識だと思い込んでいると、ブラック企業のやりがい搾取のワナにはまる危険性が高いです。やりがい自体は悪くはないですが、求職者に対してあまりにも仕事に限定した「やりがい」を強くアピールする会社は避けるべきです。
入社後の職場環境が『仕事を通して成長できます』『やりがいがあり、毎日が充実してます』というような言葉で表現されていたら、入ったら地獄かもしれませんよ。
モデル賃金・年収をうのみにしない
社員の採用ページや会社案内のパンフには、入社後の社員のモデル賃金・年収が記載されていることもあります。たとえば30歳総合職(年収600万)、30歳一般職(年収500万)といった形です。
モデル賃金・年収についても参考程度に考えるべきです。また業種別の労働者の平均賃金(平均年収)や年齢別の平均賃金(平均年収)と比較し、モデル賃金・年収額が高い場合も注意が必要です。
モデル賃金・年収はその年齢の人すべてがその金額をもらえるわけではありません。考え方としては上記の例の場合、30歳以上の総合職社員の中で年収600万円以上もらっている人が1人でもいれば嘘にはなりません。
塾業界でも生徒が増加していた90年代までは年収が右肩上がりでしたが、今ではモデル賃金・年収に記載される金額をもらえるのは、その会社の役員や幹部でもない限り、一握りだと思います。
したがって、必ず業種や年齢別の平均賃金のデータと比較して判断すべきです。データは厚労省のサイトで見れます。モデル賃金・年収が実態と乖離している場合もあるので、あくまで参考程度にとどめ、うのみにすることは絶対に避けましょう。
『先輩の声』は参考程度に
社員の採用ページや求人パンフレットには「先輩社員の声」が掲載されていることが多いです。そこで働いている先輩の話は、その職場の雰囲気や仕事内容等を知ることができ、入社後のイメージを具体化させることができます。
しかし、これら「先輩の声」はあくまで社員の中の一部の人の意見・感想に過ぎません。その会社の「悪い部分」は当然ですが書かれません。嘘が書いてあるとは思いませんが、一定の脚色がされていると考えるべきです。
したがってこれらを見て、勝手に良いイメージだけを膨らませるのは危険です。多くの社員の中から選ばれた少数の意見・感想として参考程度にとどめておくべきです。
過去に問題のある会社は避ける
過去に、賃金未払いや解雇等で社員が会社を提訴した。過労死や長時間労働によるうつ病で社員が労災申請し報道された。大きな労使紛争があったなどの事実があった場合、会社にとっては「負の経歴」になるので社員の採用ページやWebサイトでは絶対に記載されません。
本来、そうした問題を事実として認め、改善に取り組んでいると自社のWebサイトでアピールすべきですが、多くの会社はその事実を隠蔽します。しかし今の時代、インターネットで検索すれば簡単にわかります。
昔は、社内の問題を、求職者を含む外部の人が知ることは困難でした。今ではパソコンやスマホであらゆる情報が検索できるようになり、会社の「負の経歴」も容易に調べられます。したがって、会社をある程度絞り込んだらインターネットでその会社の「負の経歴」を調べてみるといいです。
もし長時間労働、過労死、残業代未払い、社員の提訴などの事実が出てきて、会社のWebサイト等でその事実や改善への取り組みが開示されてない場合、その会社の労働環境はブラックの可能性がかなり高いです。入社を避けるべきです。
入社希望の会社の職場環境や労働条件の「実際」を知りたい場合は、転職者向けの口コミサイトを活用すると、その会社の内部環境がある程度わかります。口コミサイトは信用できないと言う人もいますが、案外実態に近い評価が書いてある場合も多く、会社選びの参考になります。
次回は入社希望の会社の労働環境がブラックかどうかを見極めるために、リクナビ、マイナビ等に掲載される求人データのどこをチェックすべきかを説明します。