入社するとヤバい会社の見極め方②
この3月から、25年度入社に向けた就職活動をスタートした就活生。または転職活動中の皆さんへ。入社するとヤバい会社の見極め方の第2回目です。
つい先日、猫用のおやつ「CIAO ちゅ~る」やツナ缶で有名な大手企業のいなば食品で、4月から一般職で入社予定の新卒社員19名のうち17名が入社を辞退したというニュースが報じられていました。これに関する記事をいろいろ読みましたが、これは求人詐欺だと思います。
就活生にとっては、入社後の職場の労働環境がブラックかどうか。世間の常識が通る職場かどうかを見極めることは絶対に必要です。そこでリクナビ・マイナビ等の求人サイトに掲載されている各社の求人情報、採用データのどこをチェックすべきかを説明していきます。
求人データのココをチェック PART1
リクナビ、マイナビ等の求人サイトでは、入社したい会社の採用データについて以下の項目がどうなっているのか。記載の有無も含めてチェックします。なお、ここでいう「社員」は正社員を指します。
採用予定数と採用者数
採用予定数とは、その年に何名の社員を募集しているのか。採用者数はその会社が何名の社員を採用したのか。その人数になります。男女別人数を掲載していたり過去3年間の採用人数を開示している会社もあります。
ここで毎年大量に社員を募集し、大量に採用している会社には注意が必要です。全国や海外に展開しており社員が数千人いる会社ならともかく、企業規模も普通で新規事業もないのに、毎年50~100名以上の社員を募集する会社は労働環境がブラックで離職者が多く、欠員補充のために大量募集している可能性が高いです。
こうした会社の中には、社員を大量に雇い、自社の過酷な労働環境に耐えられる人だけを残すという方針で採用が行われているケースも多く、人材の使い捨てが横行していることもあります。
したがって企業規模がそれほど大きくなく、新規事業の予定もないのに、毎年社員を大量に募集・採用する会社への入社は避けるべきです。
平均勤続年数・平均年齢
創業したての会社なら、そこで働く社員の勤続年数は短く平均年齢も低いですが、創業して数十年経っているのに、社員の平均勤続年数が5年程度だったり平均年齢が20代後半だったら注意が必要です。
こうした会社では労働環境が過酷で若い人しか働けないか、労働条件に問題のある可能性が高いです。このような会社では社員の人事・評価・研修制度が整備されておらず、経営者のツルの一声ですべてが決まってしまう場合も多いです。
社員の平均勤続年数が長ければ、短期間で離職する人がいないので、職場の労働環境は比較的安定していると言えます。社員の平均年齢が高ければ、年齢や経験に応じてキャリアアップできるような人事・研修制度が整備され、長く勤められる会社だと言えます。
目安は社員の平均勤続年数が15年以上、平均年齢が30代後半くらいなら、バランスが取れていると考えておくといいです。数年間と割り切るならともかく、1つの職場に長く勤めるつもりなら、平均勤続年数が15年以上、平均年齢が30代後半の会社を選ぶべきです。
創業して数十年経つのに社員の平均勤続年数が5年程度で、平均年齢が20代後半の場合や、勤続年数・平均年齢などのデータが開示されていない場合などは、その会社への入社は避けるべきです。
離職率・離職者数
現在、新卒社員の30%ほどが入社後3年以内に離職しているというデータがあります。この30%が入社3年以内の新卒社員の離職率平均と言えます。この数値はここ40年ほど変化していません。つまりどんな会社でも約3割の人が入社後3年以内に辞めていくのは昔からの傾向なのです。
入社後3年以内の離職率は業種によってもかなり差があります。毎年の離職率が50%以上あったりすれば問題ですが、あくまで離職率を見る場合は、社員の平均勤続年数・平均年齢・毎年の採用者数・育児休暇制度などの有無と関連づけて考えましょう。
社員の平均勤続年数が5年程度、平均年齢20代後半、毎年大量に人材を募集・採用しているなら離職率が高いとみて間違いないです。
離職率や離職者数については求人サイトで開示していない会社もあります。労働環境がブラックで毎年大量に退職者が出て離職率の開示ができない可能性もあります。したがって、過去3年以内の離職率・離職者数を開示していない会社や、入社後3年以内の離職率が30%を超える会社には、入社すべきではないと思います。
年間休日数
社員の年間休日数(公休日数)は、具体的に107日とか120日など、1年を通して公休日が「何日」あるのか求人サイトに日数が開示されている会社を選ぶべきです。
塾業界だと多いところで105~115日程度、少ないところでは85~96日程度でしょうか。1年は52週あるので週休2日の場合だと年間休日数は104日となります。公休日が多いのか少ないのかは、この104日という日数を目安にするといいです。
でも実際のところ、年間公休日が104日でも、有給休暇がきちんと取れないとかなり厳しいですね。公休日にGWやお盆休暇、年末年始などの長期休暇があるかどうかも重要です。
求人サイトで、単に「週休2日」とだけ記載され1年を通した休日数の記載がない場合や、入社後に渡される「社員の年間休日カレンダー」に準ずると記載されている場合、そもそも休日に関する記載がない場合には注意が必要です。
入社してみると休日数が求人サイトの募集要項とまったく違っていたり、試用期間中だけ週休2日で本採用後には週休1日の会社もあります。これらは改正職業安定法が施行されている現在、明らかに「求人詐欺」に相当し違法です。
したがって求人サイトで、たとえば「年間公休日数は106日」といった具体的な記載がなく、単に「週休2日」「年間カレンダーで規定」などの曖昧な表現をとっていたり、年間休日数の記載がない会社への入社は避けるべきだと思います。
次回はリクナビ、マイナビ等の求人サイトで、有給休暇・その他の休暇制度、労働時間、固定残業代、試用期間などのチェックすべきポイントを説明します。